福山市障がい者総合支援協議会

福山市障がい者総合支援協議会 発達支援部会 活動報告

研修会「不登校について」の
振り返りを行いました!

◆研修会「不登校について」の概要

不登校になっている本人達がどう感じ、どんなことで困っているかという思いを、教員・保護者の立場からお話いただきました。そして、福山市の不登校児に対する取り組みを知り、「不登校児をゼロにする」や「登校しなくても困らない仕組みをつくる」ということより、「どうなっていたら助かるか」を考えることのできた研修会でした。

【開催日】2021年(令和3年)11月6日(土)

【登壇者】

東林館高等学校 臨床心理士 浮田うきたさん

不登校児の保護者 高橋たかはしさん

福山市教育委員会 坂口さかぐちさん

◆研修会の振り返り

2021年(令和3年)11月22日(月)開催の発達支援部会で、研修会の内容をふまえての振り返りを行いました。そこで気づいたこと、考えたことを掲載します。

①「子ども」「保護者」「先生や支援者」それぞれの不安・しんどさ・困りごとは何??

子ども(本人)の 不安・しんどさ・困りごと
  • 不登校の子どもにとって学校はしんどい所
  • 自分の思いを言えない聞いてもらえない分かってもらえない
  • 「なんで?」「どう思う?」に答えられない
  • 自分でも分からない漠然とした「しんどい」という思い。
  • 学校に行かない」という選択肢がないことが、しんどい。
  • 逃げ出すことがよくないと思われるのがしんどい。
  • 人の目が気になる。
  • さぼっていると思われる。
  • 学校にいかなきゃ」というプレッシャーで起きれない。昼夜逆転になる
  • 勉強についていけないのでは…と不安になる。
  • 大人にとっては大したことではないと思われることも、子どもにとっては大変なこと。
  • 友達の存在が助けになる時もあるが、励ましの言葉に逆にしんどくなることもある。
保護者の 不安・しんどさ・困りごと
  • 原因を探ってしまう。
  • 原因と思われることを取り除いても上手くいかない
  • 将来への不安(いつまで学校に行けないの?出口が見えない)。
  • 世間の目が気になる。
  • 自分のせいで…というプレッシャーで視野が狭くなる。ますます「学校に行かせなきゃ」という思いが強まり悪循環に。
  • 相談できるところが見つからない。
  • 学校以外に通える場があればいいな。
先生・支援者の 不安・しんどさ・困りごと
  • 「せっかく学校に来たので、楽しいことや達成感があることをさせてあげたい」という教員の思いが子どもを追い詰つめてしまう
  • どうやって学校に来させるか」という思いが強くなってしまう。
  • 寄り添う」ということが難しい。「何かしなければ」という焦りがある。
  • 不登校になりかけの段階の相談に悩む。早く解決しようと急いでしまう。
  • どう対応したらいいの?糸口が見えない焦り。
  • 子どもや保護者は学校のことをどう思っているの?
  • 一人で抱え込んでしまう
  • 子どもの将来(成績や受験)のことを考えてプレッシャーになる。
  • プレッシャーを感じることで、子どもの思いとずれていく
  • 相談できるところが見つからない
  • 立場ごと(本人・保護者・先生/支援者)で感じる不安は違うので、そこがずれているとぶつかる。

②「不安・しんどさ・困りごとを取り除くには、どうしたらいいの?」「どうなったら助かるの?」

  • 特別なことはしなくていい。本人の横に座ってあげるだけいい。寄り添う
  • 本人の話を丁寧に受け止める
  • 本人を尊重する。「今聞いた話をお母さんに伝えてもいい?」という本人の気持ちを確認することが安心感につながる。
  • 本人のありのままを受け止める。
  • 本人の話を聞くだけでも違う。
  • すぐに結論や解決策をだすのではなく、まずは思いをきく
  • 本人の気持ちを代弁して伝える。
  • 本人や保護者と一緒に振り返りをする。
  • 人の存在は大きい。他人に頼ることが大事。一人で悩んでも解決しない。
  • 周りの関係者に助けを求める
  • 困っていることに対して柔軟に対応する。例えば、タブレットを使ってのやり取りや、学校以外の場所を使う等。
  • 学びの場を変えていく
  • 話を聞いてくれる先生(存在)を見つけていく
  • 本人や周りの子どもが思いを言いやすい環境づくりが大切。
  • 色んな価値観(教員としての関わり方等)を知っていくことが大切。
  • 講演会で同じ思いをしている人の話を聞く。

◆掲載にあたって

今回の研修でおこなった不登校の問題は、福山市に限らず、全国的な問題としてあげられ、2020年度(令和2年度)の小中学校の不登校児童数はおおよそ20万人弱。前年度より1万5千人弱増加しているという状況です。

発達支援部会では、近年、障がいや発達に課題を抱える児童生徒の不登校の問題を議論してきました。これまでは、「不登校児をいかに学校へ通えるようにするか」「不登校児の居場所をどのようにつくるか」といった視点で、部会を構成している委員の立場、支援する側の立場で意見を交わしてきました。しかし、こうした議論の前に、不登校になっている本人達がどう感じ、どんなことで困っているかという当事者の思いを大切に考えたいということで今回の研修となりました。

研修を受けて部会では、委員一人ひとりが感じた、当事者の思いや困り感から「どうなっていたら子どもたちは助かるのか」を考えました。併せて、子どもたちだけではなく、保護者や教員の立場についても考えました。その研修で得たことを多くの方々に知っていただきたいと思い、部会活動として掲載させていただきます。多くの方々に、不登校の児童生徒の実態、理由、思いについて、ふれてもらい、それぞれに何かできることがあるかもしれないと感じてもらうことで、理解者、支援者のすそ野が広がっていければと思います。

発達支援部会 部会長 長谷川